ビル改修工事のスケジュール実例と工程の流れ

ビル改修工事のスケジュール実例と工程の流れ

ビルの改修工事は、外壁補修や屋上防水、空調や給排水設備の更新など多岐にわたり、工期も数か月から1年以上に及ぶことがあります。そのため、オーナーや管理会社、入居者にとっては「どの段階で何が行われるのか」を理解しておくことが非常に重要です。

 

スケジュール感を把握できていれば、入居者対応や工事中の営業活動への影響を最小限に抑えられ、無駄なトラブルを避けられます。本記事では、ビル改修工事の基本的なスケジュールと実例を紹介し、全体像を明確にします。

 

今回のお役立ちコラムでは「ビル改修工事のスケジュール実例と工程の流れ」を解説します。

 

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ビル改修工事の基本スケジュール概要

ビル改修工事の基本スケジュール概要

ビル改修工事は大きく分けて

 

  • 「事前調査・計画策定」
  • 「工事準備・仮設設置」
  • 「本工事」
  • 「竣工検査・引き渡し」

 

という流れで進みます。全体工期は建物規模や改修内容によって異なりますが、中規模ビルであればおおむね6〜12か月程度が目安です。

 

ここでは、最初の計画段階から工事の中心である外壁・屋上・設備改修までの基本的な工程を解説します。

事前調査・計画策定(1〜3か月)

最初のステップは、建物の劣化状況や設備の老朽化度合いを把握するための事前調査です。外壁の打診調査や赤外線カメラによる診断、屋上防水の状態確認、電気・空調・給排水設備の耐用年数チェックなどが行われます。

 

その結果を基に長期修繕計画と改修工事の範囲が決定されます。この段階では、工事予算の概算を立てるとともに、テナントや入居者への説明準備も並行して進めます。十分な調査を行わないまま工事に着手すると、工事途中で追加工事が発生し、スケジュールが大幅に遅れるリスクがあるため、1〜3か月かけて綿密に計画するのが一般的です。

工事準備・仮設設置(0.5〜1か月)

計画がまとまったら、実際の工事に向けた準備段階に入ります。まず施工業者が選定され、詳細な工程表と安全計画が策定されます。その後、足場や仮設通路の設置、防護ネットの設置、資材置き場の確保などが行われます。

 

この仮設工事は安全性と工事効率を左右する重要な作業であり、適切に設置されていなければ事故や工事遅延の原因になります。また、この段階で入居者への工事スケジュール説明や工事中の生活・営業影響に関する案内も実施されます。準備に0.5〜1か月を要するのは、工事を円滑に進めるための基盤作りに時間をかける必要があるためです。

本工事(外壁・屋上・設備改修)の期間目安(3〜9か月)

改修工事の中心となるのが本工事です。外壁工事では、タイルや塗装の補修・張り替え、防水処理などが行われ、屋上工事では防水シートの更新や排水機能の改善が実施されます。また、電気設備や給排水管、空調システムの更新といった内部設備の改修も同時進行することがあります。

 

これらの工事は建物の規模や劣化状況に応じて異なりますが、通常は3〜9か月程度を要します。本工事の進行中は、騒音や振動、断水・停電など入居者に影響が及ぶこともあるため、管理側は工事進捗をこまめに報告し、影響を最小限に抑える調整を行うことが重要です。

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スケジュール実例|中規模オフィスビルの改修工事

スケジュール実例(中規模オフィスビルの改修工事)

ビル改修工事の工程は建物規模や劣化状況によって異なりますが、全体の流れを実例として把握しておくと具体的なイメージがつかみやすくなります。ここでは、延床面積5,000㎡程度、地上8階建ての中規模オフィスビルを対象とした改修工事のスケジュールを紹介します。

 

このケースでは外壁改修、屋上防水更新、空調設備入れ替え、共用部リニューアルを含む工事で、全体工期は約10か月に及びました。時系列で見ていくことで、各工程のつながりや調整のポイントが明確になります。

調査〜設計〜住民説明までの流れ

工事開始の約3か月前から、建物診断と設計業務が進められました。外壁調査では赤外線カメラによる浮き検査、屋上では防水層のサンプリング調査、設備面では空調機や配管の劣化度を確認しました。

 

その結果を踏まえて設計図書を作成し、施工範囲と工法を確定させます。設計完了後は管理会社と連携し、テナント説明会を開催しました。ここで「工事の目的」「スケジュール」「生活・営業への影響と対応策」を共有することで、工事への理解と協力を得ています。

この段階を丁寧に進めたことで、後のクレームや工事遅延を防ぐ効果がありました。

外壁・屋上・共用部工事の進行例

実際の工事は、まず外壁工事と屋上防水工事を中心に進められました。足場設置後、外壁タイルの補修と塗装が行われ、同時に屋上では既存防水シートの撤去と新規シートの敷設が実施されました。

 

この間、雨天による作業中断が2週間ほど発生しましたが、工程を前倒しで進めていたため全体のスケジュールには大きな影響はありませんでした。外壁と屋上が仕上がった後は、共用廊下やエントランスのリニューアル工事、照明器具のLED化、空調設備の更新が順次行われました。

 

各工程で並行作業を組み合わせることで、工期短縮と効率化を実現しています。

竣工検査・引き渡しまでのスケジュール

工事の最終段階では、竣工検査が重要なプロセスとなります。このビルでは、施工会社・設計監理者・管理会社が立ち会い、外壁仕上げや防水性能、設備の稼働状況を細かく確認しました。

 

不具合が見つかった箇所は補修を行い、再度チェックして合格した後に引き渡しが行われました。竣工から引き渡しまでは約1か月をかけ、書類整理や保証書の提出、入居者への工事完了報告会も実施しました。

 

これにより、工事中に協力してくれたテナントやオーナーに安心感を提供でき、工事後の信頼関係強化にもつながりました。

スケジュール管理で注意すべきポイント

スケジュール管理で注意すべきポイント

ビル改修工事は工程が多岐にわたるため、当初計画したスケジュールから遅延するリスクが常に存在します。遅れが生じれば入居者やテナントへの影響が大きく、営業活動の停滞や追加費用の発生にもつながります。

 

そのため、スケジュールを管理する際には、現場特有のリスクを事前に把握し、調整とフォローを徹底することが重要です。ここでは、工事の進行をスムーズに保つためにとくに注意すべき3つの観点を紹介します。

入居者・テナント対応と工事時間帯の調整

改修工事では、入居者やテナントの協力が不可欠です。外壁や設備工事では騒音や振動、断水・停電など生活や業務に直結する影響が発生するため、工事時間帯の調整は極めて重要です。

 

たとえば、オフィスビルであれば就業時間帯を避けて夜間に作業を実施したり、商業ビルであれば定休日や営業時間外を中心に工事を進めるなど、テナントの事情を考慮する必要があります。

 

また、工事予定や進捗を定期的に共有することで、入居者の不安や不満を軽減できます。対応を怠るとクレームや契約解約につながり、工事そのものの継続にも影響を及ぼす恐れがあるため、入居者とのコミュニケーションは最優先事項です。

天候や資材調達遅延へのリスク管理

ビル改修工事は屋外作業も多く、天候の影響を強く受けます。とくに外壁や屋上防水工事は雨天・降雪時には作業が中止され、スケジュールが大きくずれ込むことがあります。そのため、工程表を作成する段階で余裕を持たせ、天候による中断を織り込んでおくことが必要です。

 

また、近年は資材調達の遅延や価格高騰も深刻な問題となっており、発注の遅れが全体工期に波及するケースも見られます。複数の仕入れ先を確保する、代替資材を検討しておくなど、リスク分散を意識した調達計画が不可欠です。

 

これらの備えがあるかどうかで、予定通りの竣工が実現できるかが大きく変わります。

工事進捗の可視化と定例会議の重要性

改修工事は関係者が多く、情報共有不足がスケジュール遅延の原因となることがあります。そこで有効なのが、工事進捗を可視化し、定例会議で共有する仕組みです。施工会社から提出される週報や進捗写真を活用すれば、現場の状況をリアルタイムで把握できます。

 

さらに、管理会社・オーナー・施工会社・設計監理者が参加する定例会議を定期的に開催することで、課題が早期に発見され、解決策をその場で検討できます。小さなトラブルも放置せず即対応できる体制を作ることで、全体のスケジュールを守ることが可能になります。

 

進捗管理と情報共有の徹底は、遅延を防ぐ最も効果的な方法のひとつです。

エースが伴走する「ビル改修の工程見える化」――実例ベースの最短ルートで、遅延と機会損失を最小化

エースが伴走する「ビル改修の工程見える化」――実例ベースの最短ルートで、遅延と機会損失を最小化

ビル改修は事前調査→計画策定→仮設→本工事→竣工検査という多段階の長期プロジェクトです。検索意図にお答えすると、要は“いつ・どこで・何を・どれだけ止めるのか”を実例に沿って可視化し、入居者対応や営業影響を織り込んだ工程管理が肝要です。

 

株式会社エースでは、中規模オフィスビルの実績を基に

 

①週次クリティカルパス管理と天候バッファ

 

②夜間・定休日施工などテナント事情に合わせた時間帯最適化

 

③資材リードタイムと代替案をセットにした発注計画

 

④写真付き週報と定例会議による合意形成

 

をパッケージ化して対応しております。

 

外壁・屋上・設備の並行施工で工期短縮を図りつつ、断水・停電の告知テンプレやクレーム未然防止の広報手順まで一気通貫で支援します。まずは貴社物件の延床・用途・稼働状況に合わせた“実例ベースのスケジュールひな形”をお渡しします。

 

お問い合わせは問い合わせフォーム、メール、お電話、またはショールームへ。エースの工程設計で、遅延リスクと余計な追加費用を抑えた円滑な改修を実現しましょう。

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