RFPテンプレ有|オフィスビルの発注準備|“大規模修繕”の比較観点

RFPの雛形や比較軸、社内稟議材料が欲しい

オフィスビルや商業施設の大規模修繕を発注する際、複数の業者から提案を受けるための「RFP(Request For Proposal:提案依頼書)」は、社内意思決定の中核資料になります。

 

しかし、実際には「どんな構成で作ればよいか」「どこまで条件を書き込むべきか」「社内稟議が通る形式とは何か」が曖昧なまま進むケースも多く、結果として見積比較が形骸化し、最終判断が価格の安さに偏る傾向があります。

 

本来のRFPは、発注側が求める成果・条件・評価軸を明確に示すドキュメントです。これを整備することで、工事の品質・費用・工程の全てを可視化し、社内稟議や決裁プロセスにも説得力を持たせることができます。

 

今回のお役立ち情報では「オフィスビル大規模修繕におけるRFP雛形と比較・稟議の実務ポイント」について解説します。

 

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RFP(提案依頼書)を整備する目的と役割

RFP(提案依頼書)を整備する目的と役割

RFPは単なる「見積依頼書」ではなく、発注者の意図と判断基準を示す契約前段階の設計書です。大規模修繕やリニューアルでは、施工品質や工期調整、管理体制、将来の維持コストまで含めた提案力が成果を左右します。

このため、見積金額だけでなく、提案内容・体制・リスク管理力を比較できるよう、RFPという統一フォーマットが必要になります。

RFPの定義と「見積依頼書」との違い

「見積依頼書」はあくまで数量・仕様が確定した後に価格を求めるものですが、RFP(Request For Proposal)は、課題解決を目的とした提案依頼です。つまり「どのように修繕するか」「どう品質・コスト・工期を最適化するか」という方法論までを比較するための資料です。

 

たとえば、外壁改修を行う場合、

 

  • 見積依頼書:単価・数量を提示して合計金額を算出
  • RFP:改修方針・塗料選定理由・劣化診断根拠・工程計画・保証年数などを提案書として提出

 

後者のRFP形式にすることで、価格だけでなく技術・実績・リスク対策の観点から客観的に業者を評価できます。

RFPが必要になる主な場面

RFPは、とくに以下のような案件で有効に機能します。

 

  • 設計と施工を一括で依頼する「デザインビルド方式」
  • 外壁・防水・設備更新など複数分野が関係する大規模修繕
  • 既存ビルの機能向上やリニューアル(省エネ・BCP・耐震補強など)
  • 法人本社・管理組合・不動産ファンドなど、社内決裁に第三者比較が必要な発注

 

これらの案件では、単純な価格比較だけでは合理的な判断ができず、業者提案の中身を定量的に比較する仕組みが求められます。RFPを整備しておけば、経営層や監査部門に対して「公平・透明な選定プロセスである」と説明でき、承認を得やすくなります。

RFPを導入する3つのメリット

  1. 提案内容の質を比較できる
    RFPには「求める成果・仕様・評価基準」が明記されるため、提案者がどの視点で工事を計画しているかが見える。
    → 結果的に安いだけの提案を排除できる。
  2. 社内稟議に必要な説明資料になる
    点数表や評価コメントを添えれば、経営層・財務部門への説明資料としてそのまま流用できる。
  3. 契約後の変更リスクを抑制できる
    仕様・範囲・保証条件を事前明文化するため「想定外の追加費用」や「工期延長リスク」を減らせる。

 

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オフィスビル修繕RFPの雛形と必須構成

オフィスビル修繕RFPの雛形と必須構成

RFP(提案依頼書)は、単なる依頼文書ではなく、発注者の要望・条件・評価基準を明確に定義する「仕様書の前段階」です。とくにオフィスビルの大規模修繕では、複数業者への提案依頼を行い、内容・金額・工程を同じ土俵で比較するために欠かせません。

ここでは、実際のビル管理会社やPM(プロパティマネジメント)で使用されている形式をもとに、汎用性の高いRFP雛形を示します。

以下は、Word/Excelでそのまま転記可能な構成です。各項目を埋めることで、社内稟議にも対応できる正式な依頼文書として成立します。

【1】表紙・概要

  • 件名:○○ビル 大規模修繕工事 提案依頼書(RFP)
  • 発行日・発行元(会社名・部署・担当者)
  • 対象施設概要(所在地・竣工年・構造・延床面積・用途)
  • 発注目的(例:「劣化対策および外観リニューアル」「設備更新による保全性向上」など)

 

ポイント
RFPの表紙は社内決裁の第一印象です。案件の背景と目的を端的に書くと、上層部や監査部門でも内容を把握しやすくなります。

【2】発注範囲・対象工事

  • 対象部位:外壁・屋上防水・共用部・電気/給排水設備など
  • 業務範囲:劣化調査、設計、施工、監理、近隣対応、アフターサービス
  • 工事区分:設計・施工分離 or 設計施工一括(デザインビルド)
  • 想定工期:例)2025年6月〜12月

 

ポイント
範囲の明記は最重要項目です。抜けがあると、見積・提案内容がバラバラになり比較不能になります。

【3】提案内容に求める条件

  • 改修方針・施工計画・工程管理・品質保証体制を明示
  • 安全管理計画(作業区域・動線・近隣対策)
  • コスト圧縮提案・VE案(Value Engineering)を含むこと
  • 保証年数・アフター対応・定期点検体制の提示

 

ポイント
単に「施工方法」ではなく「どうリスクを減らし、どう維持コストを下げるか」を提案条件に含めるのが法人向けRFPの基本です。

【4】提出要領・スケジュール

 

項目 内容 備考
質問受付期限 2025年1月17日(金)17:00 メールにて受付
提案書提出期限 2025年1月31日(金)正午 紙1部+PDFデータ
ヒアリング実施 2025年2月中旬 3社程度に実施
提案結果報告・契約候補決定 2025年3月上旬 社内稟議後に通知

 

ポイント
スケジュールを明記することで、社内の稟議・決裁ラインが可視化され、業者側の対応スピードも上がります。

【5】評価基準(スコアリング例)

 

評価項目 配点 評価観点
技術提案の具体性 30点 劣化診断・工法提案・工程表の明確さ
見積の妥当性 25点 コスト構成・数量根拠・単価明瞭性
施工・管理体制 20点 現場代理人の経験・安全管理体制
維持保全提案 15点 アフター保証・長期保全計画の提案力
会社信頼性 10点 財務基盤・実績・法令遵守体制

 

ポイント
この評価基準をRFP内に明記しておくことで、提案業者に「何が重視されるか」を明確に伝えられ、提案の質が均一化します。

【6】提出資料一覧(添付書類)

  • 会社概要(沿革・組織図・主要実績)
  • 施工体制一覧(現場代理人・技術者資格)
  • 提案書(施工方法・工期・工程表)
  • 見積書(内訳明細付き)
  • 工事保証書サンプル
  • 安全衛生計画書・環境対策書

 

ポイント
添付資料の指定は、業者ごとの「資料ボリューム差」を防ぎます。すべて同じ条件で揃えると、比較時に説明コストが下がります。

【7】添付図面・資料(発注側準備)

  • 現況図面・平面・立面・詳細図
  • 劣化診断報告書(過去3年以内)
  • 建築設備定期報告書(12条点検結果など)
  • 過去の修繕履歴・保証書

 

ポイント
RFPを出す前に、自社の情報を正確に提示できるよう整理しておくと、提案精度が格段に上がります。とくに「12条点検報告書」「漏水履歴」「前回の工事仕様書」は、業者にとって最も重要な基礎資料です。

提案比較のための評価軸と社内稟議の通し方

提案比較のための評価軸と社内稟議の通し方

RFPを発行して提案書が集まった後、最も重要なのは「どう比較・どう決裁を通すか」です。大規模修繕のように数千万円〜億単位の予算を動かす案件では、社内の稟議・監査・内部統制をクリアする合理的な根拠が求められます。

単に「安かったから」では通らず、評価項目・スコア・選定理由を文書化しておくことで、意思決定の透明性を確保できます。

RFP比較評価表

以下の表は、提案書の比較時に使える基本フォーマットです。
Word/Excelで作成し、そのまま稟議資料として添付できます。

 

評価項目 配点 会社A 会社B 会社C コメント
技術提案(診断・工法・工程) 30 施工手順・工程の具体性
見積の妥当性(積算根拠・単価) 25 数量根拠の明確さ・追加費の想定
管理体制(人員・安全管理) 20 現場代理人・安全衛生計画の信頼度
維持保全提案(保証・長期性) 15 保証年数と定期点検計画
会社信頼性(実績・財務) 10 決算内容・損害保険加入状況
総合評価(100点満点) 100 92点 86点 80点 推奨業者:A社

 

ポイント

  • 各項目に重み(配点)をつけることで、社内の意思決定が「定量的に見える化」されます。
  • コメント欄を残しておくと、監査部門や経営層への説明資料としても流用可能です。
  • 合計点ではなく「重点評価項目」で優位な会社を選ぶのも実務上は合理的です。

社内稟議を通しやすくする資料構成

提案比較を終えた段階で、稟議に添付すべき資料パッケージを整理しておくと承認がスムーズです。
稟議書に添付する代表的な構成は次の通りです。

 

  1. RFP本文(提案依頼書)
    → 発注条件・評価基準を明示する基礎資料。
  2. 提案比較表(スコアリングシート)
    → 客観的な比較根拠として社内説明で使用。
  3. 推奨理由書(A4 1ページ)
    → 最上位業者を推奨する理由を簡潔に説明。
    (例:「技術提案の具体性」「工期短縮効果」「保証年数」など)
  4. 概算費用・資金計画書
    → 設備投資枠・修繕積立金・補助金利用など財務根拠。
  5. スケジュール案(実施工程表)
    → 契約締結→着工→完了までの全体工程を可視化。

 

これらを揃えることで、決裁者は「誰が・どんな基準で・なぜ選んだか」を一目で理解でき、承認が通りやすくなります。

稟議説明時の通るポイント3選

  1. 比較基準が明確であること
    「RFPに基づき、定量比較を行った」と説明することで、恣意的な業者選定を排除。
  2. コストより成果を示すこと
    単価や金額だけでなく「提案内容が将来の維持コストを下げる」と説明すると投資判断に説得力が増す。
  3. 行政・補助金制度との整合を示すこと
    定期報告(12条点検)や長寿命化改修補助など、公的制度と整合している修繕は社内稟議で通りやすい。

実務担当者が作る「推奨理由書」フォーマット例

件名:○○ビル大規模修繕業者選定 推奨理由書

  • 【対象案件】Aビル大規模修繕工事(外壁・屋上防水・共用部改修)
  • 【提案社数】3社(A社・B社・C社)
  • 【選定結果】A社を優先候補とする
  • 【主な理由】
    1. 工法提案の具体性と劣化診断データの整合が高い
    2. 工期を1.5か月短縮しつつ品質管理計画を明示
    3. 長期保証(10年)+5年後点検を自社無償で実施
  • 【リスク・補足】
    ・価格差:B社比+3.5%(提案内容を考慮し妥当)
    ・安全対策・近隣調整計画の実効性は高い
  • 【決裁希望日】2025年3月15日(契約前稟議)

 

この形式をそのまま添付すれば、役員会・本社承認が通りやすくなります。

比較と稟議を支援する専門家の活用

RFP比較や稟議資料整備を外部の建築コンサルタントや修繕専門会社に依頼するケースも増えています。

専門家が入ることで

 

  • 提案書の技術的妥当性を第三者が判定
  • コスト差の根拠を明文化(積算根拠・単価比較)
  • 稟議資料を「監査対応可能なフォーマット」で整備

 

この仕組みを導入すれば、社内の事務負担を軽減しつつ、経営層への説明力を高められます。

エースが届ける「RFP整備の安心感」――施工会社だからこそ、現場目線で応える提案を

エースが届ける「RFP整備の安心感」――施工会社だからこそ、現場目線で応える提案を

大規模修繕の成否は、提案段階でどれだけ正確な情報を伝えられるかにかかっています。

 

株式会社エースは、オフィスビル・商業施設の改修工事を数多く手がけてきた施工業者として、発注側のRFP(提案依頼書)に的確かつ迅速に対応いたします。求められる技術提案書、工程表、見積書、保証条件など、社内稟議に必要な各種書類をスピーディーに整え、比較検討がしやすい形で提出いたします。施工のプロとして、現場条件やコスト構成、工程上のリスクまで具体的に提示し、「数字だけでは見えない部分」も含めてご判断いただけるよう努めています。

 

品質・安全・工程管理のすべてに責任を持ち、決定後は計画から竣工まで一貫対応。信頼できるパートナーとして、貴社の修繕計画を確実に前進させます。お問い合わせはフォーム・メール・お電話、またはショールームにてお気軽にご相談ください。

 

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