マンション外壁塗装の種類とモルタル外壁のポイント|『定番』を大切に。マンション外壁塗装種類別メリット&モルタル壁の選び方ガイド
マンションの外壁塗装の目的は、美観だけではありません。マンション全体の寿命や資産価値のためにも必要なメンテナンス工事です。マンションの外壁塗装をする場合、塗料の耐用年数や機能性だけに注目してしまうかもしれません。
ただ、塗料の機能性や費用だけ見ると失敗します。塗料選びでは外壁材との相性も重要です。たとえばマンションでは、モルタル外壁が多数採用されています。モルタル外壁と相性のいい塗料はなにか?なかなか答えられるものではありません。
外壁材との相性が悪いと、数年でひび割れや塗膜のはがれが発生するリスクもあります。だからこそ慎重に選ばなければなりません。そこで今回のお役立ちコラムでは、塗料の種類や性能比較、モルタル外壁のメリットやデメリット、外壁素材別の特徴についてくわしくお話しします。
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マンションの塗装は建物の寿命を左右する重要メンテナンス
マンションの外壁塗装は単なる美観の維持だけでなく、建物の寿命を延ばすための重要なメンテナンスです。外壁は一見、非常に強固に思われます。とくにモルタルやコンクリートなどの外壁はびくともしないと感じるかもしれません。
ただ、外壁材は紫外線や雨風にずっとさらされ続けているのです。紫外線は分子構造を壊しますし、雨や風などの負担も継続的だとダメージ要因となります。マンションの外壁も同様と考えてください。
外壁を守るには外壁塗装が欠かせません。塗料成分による保護膜の「塗膜」が、外壁表面に形成されます。塗膜は紫外線や雨風など、直接的なダメージから外壁を守るのです。その塗膜も紫外線や雨風で劣化します。そのため定期的に外壁塗装が必要なのです。
塗料選びは「コスト」だけで考えると失敗する
外壁塗装では塗料を選ばなければなりません。そこで失敗の可能性を高めるのは「塗料はどれも同じ」という考えです。オーナーも管理組合もそのような考え方を持っていると失敗します。
外壁塗装を含めた大規模修繕工事のコストは、できるだけ抑えたいと考える方も多いでしょう。削れる部分を探した際、塗料に着目するかもしれません。独自で調べてみると、さらに安価な塗料が見つかるかもしれません。そうすると「この塗料でいいのでは?どうせデザインや色の見栄えだけ」という意見も出てくるのです。
基本的に塗料は安価なものほど、すぐに劣化します。理由は耐用年数の存在です。安価な塗料の代表格はアクリルですが、10年持ちません。一般戸建てでも、外壁塗装での採用は減りました。
安価な塗料で外壁塗装をすると単純に、次の外壁塗装までの期間が短くなるのです。また、塗料は外壁材との相性も考えなければなりません。相性が悪いと、想定より早く劣化してもおかしくないのです。
塗料の種類と性能比較
塗料にはさまざまな種類があり、耐用年数が異なります。以下はよく採用される塗料の特徴と耐用年数の他、価格の違いです。
塗料の種類 | 耐用年数 | 単価/平方メートル(3回塗り) |
アクリル | 約3~8年 | 1,000~1,800円 |
ウレタン | 約5~10年 | 1,700~2,500円 |
シリコン | 約7~15年 | 2,300~3,500円 |
ラジカル | 約8~16年 | 2,200~4,000円 |
フッ素 | 約12~20年 | 3,500~4,800円 |
セラミック(無機) | 約10~25年 | 2,300~5,500円 |
シリコンはちょうど中間グレードと考えてください。シリコンより上、とくにフッ素やセラミック(無機)がハイグレード塗料などです。アクリルの耐用年数は長くて8年ですが、フッ素やセラミックだと2倍ほど異なります。そのため値段も2倍~3倍もの差があるのです。
フッ素やセラミックは耐用年数の長さから、公共の建物や高層マンションで採用されています。たとえば東京スカイツリーでは、特殊ですがフッ素塗料系です。
フッ素やセラミックのような塗料は「簡単に外壁塗装ができない建物」を中心に採用されています。耐用年数の長さや機能性が、安価な塗料よりも高いことが理由です。
モルタル外壁の特徴
モルタルは【セメントと砂を1:2〜3の割合で混ぜる】【水を加えて練り込む】このような工程で作ります。セメントは石灰石や石膏を焼いて粉末にしている材料です。レンガや石を接着するために使われており、一般的にも広く認知されています。
モルタルを塗布した外壁がモルタル外壁で、高い強度を誇る建築材料です。マンションでも採用されていますが、防水性能は高くありません。中には防水性を高くしたモルタルもありますが、例外と考えてください。
モルタル外壁のメリット
モルタル外壁には多くのメリットがあります。どのような内容か、代表的なメリットをお話しします。
高いデザイン性
モルタル外壁は目地のような継ぎ目がありません。広範囲で継ぎ目のない統一感のある外壁にできます。また、モルタルのカラーは灰色だけではありません。多種多様な色と模様を選べます。仕上げ工法も幅広く、デザイン性で個性を出したい方にぴったりです。
シーリング材の補修は不要
モルタルは継ぎ目がないため、シーリング材の補修は要りません。サイディング外壁の場合、サイディングを貼り合わせて外壁を構築していきます。サイディングとサイディングの接合面に隙間ができるのです。
隙間を埋める際にはシーリング材という充填剤を使用します。シーリング材は換気扇や窓と外壁にできる隙間などにも施工されているのです。シーリング材の耐用年数は約10年ですから、定期的に打ち替えという交換工事が求められます。モルタルは継ぎ目がなく、シーリング材が不要なため補修も要りません。
モルタルのデメリット
モルタルはメリットもありますが、デメリットも存在します。
ひび割れが起きやすい
モルタルは防水性能が高くありません。水を吸収すると体積が増えて膨張し、乾燥すると収縮します。モルタルは硬いですから、膨張と収縮という動きがあれば負担もかかるのです。そのうちにひびが入ってしまいます。
また、つなぎ目のない点はメリットですが、同時にデメリットにもなるのです。地震のように強い揺れのエネルギーの影響をもろに受けることで、ひび割れてしまいます。ひび割れると雨天時に雨の侵入口になるのです。雨水が住まいの内部まで侵入してきたら、住まいにとって致命的な劣化である雨漏りにつながります。
汚れやすい
モルタルは凹凸でデザイン性を高められます。ただ、凹凸に汚れが停滞しやすいのはデメリットです。外壁塗装では色味も選べますが、明るい色にすると汚れが目立ちます。
また、雨だれ汚れも厄介です。窓や開口部のほか、外壁に付着した汚れが雨水で流れたとします。汚れだけが外壁に残って黒い筋状になる現象です。雨だれ汚れはブラシでも簡単に落とせません。
チョーキングが起きやすい
外壁に触れた際、白い粉が付着する現象をチョーキングと呼びます。外壁塗装の塗料が劣化し、粉状の顔料が出てくる劣化現象です。チョーキング現象が発生したら、外壁塗装を検討するタイミングと考えてください。
モルタル外壁と相性のいい塗料
モルタル外壁と相性のいい塗料は、弾性塗料です。理由はひび割れへの弱さが挙げられます。防水性がないため、とくに塗料選びは慎重にしなければなりません。
弾性塗料は弾力性があり、伸縮する性質を備えています。地震や台風でひび割れが発生していても、弾性塗料は伸び縮みするのです。ひび割れた面が表面に出にくいため、雨水の侵入を防ぎます。
シリコン塗料やフッ素塗料、セラミック塗料のような塗料は耐用年数も長いですし、塗膜が硬いです。ただし、弾性系の塗料も登場しているため、硬さの問題も解決できます。
外壁素材別の耐久性・価格・施工方法
モルタル以外にも外壁材はあります。各外壁材について耐久性や価格のほか、施工方法についてもお話しします。
外壁材 | 耐用年数 | 価格(材料費のみ) | 施工方法(メンテナンス) |
モルタル | 約30年 | 4,000~6,000円/平方メートル |
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窯業サイディング | 約40年 | 3,500円/平方メートル |
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ALC | 約60年 | 5,500円~7,200円/平方メートル |
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マンション外壁塗装の種類とモルタル外壁の選び方は株式会社エースへご相談ください
マンションの外壁塗装は、美観維持だけでなく建物の寿命や資産価値を守るために欠かせない重要なメンテナンスです。特にモルタル外壁は高いデザイン性やシーリング材の補修不要などメリットがある一方、ひび割れや汚れ、チョーキングといったデメリットもあります。
塗料選びではモルタル外壁の特性に合った弾性塗料を選ぶことが重要であり、耐用年数や価格も考慮したバランスが求められます。また、モルタル以外の窯業サイディングやALC外壁も耐久性や施工方法に特徴があるため、専門家による適切な判断が必要です。
株式会社エースでは、豊富な知識と経験を持つスタッフが、マンションの外壁材や塗料の種類ごとのメリット・デメリットを踏まえ、お客様の建物に最適な塗装プランをご提案いたします。お見積もりや施工に関するご相談は、問い合わせフォームやメール、電話での対応はもちろん、ショールームへのご来店でも承っております。
ぜひお気軽にご連絡ください。株式会社エースが大切な資産の価値を守るお手伝いをいたします。
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