大規模修繕で活用可能な2025年補助金 ― 対象工事と申請上のリスク管理(京都府)

大規模修繕で活用可能な2025年補助金 ― 対象工事と申請上のリスク管理(京都府)

京都では古い木造住宅や京町家を「壊す」ではなく「活かす」方向に政策が進んでいます。2025年には、これまで以上に建物の安全性と地域景観の両立を支える補助金制度が整備されています。地震や火災に強く、快適に暮らせる住まいを維持するため、耐震・防火・省エネなど幅広い改修を支援する仕組みです。

 

とくに京都市では「まちの匠・ぷらす」や「京町家の大規模修繕・模様替計画策定支援」など、建物のタイプに応じた支援策が充実しています。

 

そこで今回のお役立ちコラムでは、京都市と京都府で利用できる補助金制度の内容を整理しました。対象となる建物や工事の範囲・補助額の目安・申請時の注意点をわかりやすくお話ししています。

 

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京都市の補助制度|京町家や木造住宅を守る支援

京都市の補助制度|京町家や木造住宅を守る支援

京都市では、歴史ある街並みを残しながら、安全性を高めるための制度が整っています。代表的なのが「京町家の大規模修繕・模様替計画策定支援事業」です。この事業では、京町家の修繕を行う際、工事前の計画や設計段階でかかる費用を補助しています。たとえば建物調査や図面作成、構造診断などが対象です。補助率は1/2、上限200万円となっています。

 

また「まちの匠・ぷらす」制度は、耐震性の低い木造住宅や長屋が対象です。屋根を軽くする改修や防火壁の施工のほか、老朽化した柱や梁の補強など、安全性を高める改修を行う場合に利用できます。本格改修では、最大で300万円の補助です。ただし、木造住宅は最大200万円となっています。このような制度は、古い住宅でも無理なく安全性を確保できるように設計されているのです。

京都府の補助制度:大規模建築物の耐震化を重点支援

京都府では、災害時に被害が大きくなりやすいマンションやビルなどの大規模建物を対象として「大規模建築物等耐震化支援事業」を実施しています。学校・病院・商業施設など、不特定多数が利用する建物の耐震診断や耐震設計のほか、耐震改修などを支援するものです。

 

京都府の制度では、補助率が区分で異なります。診断や設計では1/2〜2/3相当などです。制度や市町により補助率や算定方式が異なる点には注意が求められます。

 

基本的に、京都府と京都市の両制度は、目的と対象が異なるのです。所有する建物の種類に合わせて選ぶ点に注意が求められます。

補助金額と利用時の注意点

京都市の住宅向け補助制度では、申請書を出してから交付決定通知が届くまで、数週間から数か月かかる場合もあります。補助を受けるには「交付決定後に工事を始める」ことが絶対条件です。早く工事を進めたい場合でも、手続きを省略してしまうと補助の対象外になってしまいます。

 

一方、京都府の制度は事業規模が大きいため、申請から審査、交付決定までの期間がさらに長くなる傾向もあります。余裕をもった計画づくりが不可欠です。

 

参照:京都市「令和7年度すまいの耐震・防火補助制度」

参照:京都市「京町家の大規模修繕・模様替計画策定支援事業」

参照:京都府「大規模建築物等耐震化支援事業費補助金(交付要綱PDF)」

参照:京都府例規集「大規模建築物等耐震化支援事業費補助金交付要綱」

国制度との違いと京都での併用活用ルート

国制度との違いと京都での併用活用ルート

国の補助金は住宅性能を上げることが目的で、京都の制度は地域景観や歴史的価値を守ることに重点を置いています。両者の特徴を理解して活用すれば、補助金の効果をより高められるのです。

国の補助制度|建物の性能を高める支援

国土交通省が実施する「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、既存住宅の性能を高めるための代表的な制度です。耐震化、断熱改修、劣化対策、バリアフリー化などを目的とする工事を対象としています。補助額は工事費の1/3です。上限金額は基本80万円で、長期優良(増改築)認定取得で160万円です。要件該当で+50万円で、130万円や210万円になります。

 

京都市や府内の住宅も対象です。申請には設計者・施工会社の技術的書類の提出が求められます。

 

この制度では「全国どこでも同じ基準」で利用できます。住宅の性能を数値で示すことが求められるため、事業者や設計士と連携して資料を作成することが重要です。

京都の補助制度との違い

京都の制度は、地域性や景観を保つ目的が強くなっています。国の制度のように数値基準を重視していません。たとえば、路地奥にある京町家や木造長屋などは、国の制度だと対象外になることが多々あります。一方、京都市の制度では、支援が受けられる場合もあるのです。さらに京都市の補助金は工事前の「計画策定」や「設計」段階から対象となる点も特徴的です。

 

国の制度が「性能の向上」を目的としているのに対し、京都制度は「文化を残しながら安全性を確保する」という性格があります。両者を補い合うように使えば、補助金の効果を最大限に引き出せるのです。

併用のコツと注意点

国と京都の制度は目的が異なるため、同じ工事内容で両方に申請はできません。ただ、工事の費目や範囲を明確に分ければ、併用は可能です。

 

たとえば建物全体を修繕する際、耐震補強や断熱性能の向上といった「性能改善部分」を国の制度で申請します。あわせて外観の修繕や町並みとの調和を重視する「景観改修部分」を京都市の制度で申請するという方法です。

 

このとき重要なポイントがあります。どちらの補助金も「工事を始める前に申請し、交付決定を受けてから着工する」という共通ルールを守ることです。

 

万が一交付決定前に契約や工事を始めると、補助の対象外となり、すべて自己負担になります。まずは国の公募スケジュールを確認し、その後で京都市または府の制度へ申請する順序で進めるとスムーズです。行政や施工会社と相談しながらスケジュールを調整し、書類の整合性を保つことで失敗を避けられます。

 

参照:国土交通省「長期優良住宅化リフォーム推進事業(令和7年度)」

参照:国土交通省「長期優良住宅化リフォーム関連ページ」

参照:国土交通省「住宅リフォーム支援制度まとめ」

申請上のリスク管理と計画立案のチェックポイント

申請上のリスク管理と計画立案のチェックポイント

「補助金は申請さえすれば必ず採択される」そのようなものではありません。手続きの順序や書類の不備で、不採択や支給取り消しになる場合もあります。ここでは、申請から工事完了までの流れと注意点をまとめます。

よくある申請ミスとその対策

補助金申請で多い失敗は「交付決定前に契約・着工してしまうケース」です。制度上、交付決定通知書が届く前に工事を始めると、補助金は受けられません。また、書類の記入漏れや添付資料の不足も注意が必要です。

 

京都市の補助制度では、申請から交付決定までに数週間かかることがあります。そのため、修繕スケジュールを立てる際には、審査期間を見込んで計画を組むことが大切です。

準備しておきたい書類と流れ

申請には「建物の図面」「見積書」「写真」「契約書案」「所有者の同意書」マンションの場合は「総会議事録」などが求められます。申請の流れは以下のとおりです。

  1. 書類準備
  2. 行政への提出
  3. 審査
  4. 交付決定
  5. 契約・着工
  6. 完了報告

途中で内容変更があるなら、必ず行政担当へ連絡し、承認を得なければなりません。報告を怠ると、補助金の返還を求められることもあるため注意が必要です。

事前チェックと相談のすすめ

申請前に、対象工事が制度に該当するか、募集期間に間に合うかを確認します。同じ工事で別の補助金を申請していないかも重要なポイントです。

 

不安があるなら、京都市や京都府の担当窓口で事前相談をすると失敗を避けられます。職員が条件に合うかどうかを教えてくれますし、必要書類のひな形も入手できるからです。施工業者と行政が連携できていると、書類不備や工期のずれが起こりにくくなります。

 

参照:京都市「京町家の大規模修繕・模様替計画策定支援事業要綱PDF」

参照:京都市「令和7年度すまいの耐震・防火補助制度」

参照:京都府「大規模建築物等耐震化支援事業費補助金(PDF)」

参照:ACEB「大規模修繕で使える補助金まとめ2025」

FAQ|大規模修繕で活用可能な2025年補助金についてよくある質問

FAQ|大規模修繕で活用可能な2025年補助金についてよくある質問

京都府・京都市で大規模修繕に補助金を活用する際には

 

「うちの建物は対象になるのか」

「国と京都の制度は併用できるのか」

「工事スケジュールと申請タイミングをどう合わせればよいか」

 

といったご相談が多く寄せられます。ここでは、管理組合・オーナー様からよくいただくポイントをQ&A形式で整理しました。

Q.2025年の補助金で対象になりやすい大規模修繕工事には何がありますか?

耐震性・防火性・省エネ性の向上に直結する工事は、2025年も引き続き対象になりやすい傾向があります。具体的には、耐震補強、屋根や壁の軽量化、断熱改修、木造住宅や京町家の構造補強、防火性能を高める改修などです。

 

また、京都市独自の制度では京町家の大規模修繕・模様替計画策定や、木造住宅・長屋の耐震改修といった「地域固有の建物」を守る工事も重視されます。一方で、意匠変更のみを目的とした塗装や、専有部の内装リフォームなどは対象外となるケースが多いため、事前に制度要綱の確認が必要です。

Q.国の補助金と京都市・京都府の制度を同じ大規模修繕で併用することはできますか?

同一工事費に対して二重に補助を受けることはできませんが、工事内容を明確に区分すれば併用は可能です。たとえば、耐震補強や断熱改修など性能向上部分を国の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」で申請し、京町家の外観修繕や景観配慮を伴う改修部分を京都市の制度で申請するといった組み立て方が考えられます。

 

その際は、見積書・図面上で対象範囲と費目を明確に分け、交付決定前に契約・着工しないことが重要です。スケジュールと書類整合性の管理が併用成功の鍵となります。

Q.補助金を前提に大規模修繕を計画する場合、いつ頃から準備を始めるべきでしょうか?

募集開始から申請締切までの期間は限られており、審査や交付決定にも時間を要するため、少なくとも着工希望時期の半年前〜1年前からの準備が望ましいです。建物診断や計画策定、総会決議、複数社の見積比較といったプロセスを経てから、国・京都市・京都府それぞれの窓口に事前相談を行い、申請書類を整える流れになります。

 

特に京都市・京都府の制度は予算枠が埋まり次第終了となるケースもあるため「工事ありき」ではなく「補助スケジュールを前提にした工事計画」という発想で動くことが、リスク管理の面でも有効です。

株式会社エースと進める京都の大規模修繕補助金活用|まずはご相談から

株式会社エースと進める京都の大規模修繕補助金活用|まずはご相談から

京都府・京都市で2025年の補助金を前提とした大規模修繕を計画する際には「どの制度が自分たちの建物に合うのか」「国と京都の制度をどう切り分ければよいのか」「申請と工事スケジュールをどう組み立てればリスクを最小化できるのか」といった専門的な判断が欠かせません。

 

補助金はうまく活用すれば工事費負担を大きく軽減できますが、交付決定前の契約・着工、工事内容の区分ミス、書類の不備といった初歩的なミスで、不採択や返還リスクが生じる点には注意が必要です。こうした申請上のリスクを管理しつつ、耐震・防火・省エネ・景観配慮といった要件を満たすためには、補助制度と建築実務の両方を理解したパートナーの存在が重要になります。

 

株式会社エースでは、京都府内の大規模修繕における補助金活用をトータルに支援しており、建物診断結果を踏まえた対象工事の切り分け、国・京都市・京都府それぞれの制度選定、申請スケジュールと工事工程の組み立てまでを一貫してサポートいたします。補助金を前提にした修繕をお考えの管理組合・オーナー様は、ぜひ株式会社エースまでお気軽にご相談ください。

 

問い合わせフォームからのお問い合わせはもちろん、メール・お電話でのご相談、ショールームへのご来店相談も承っております。

 

京都ならではの文化と景観を大切にしながら、安全で長寿命な建物を実現するためのパートナーとして、株式会社エースが丁寧にお手伝いさせていただきます。

 

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