マンション大規模修繕の補助金活用ガイド2025 ― 国・自治体の併用設計(神戸市)

マンション大規模修繕の補助金活用ガイド2025 ― 国・自治体の併用設計(神戸市)

マンションの大規模修繕は、外壁や屋上防水、配管など多くの工事が必要です。場合によっては1棟で数千万円に達することさえあります。とくに神戸市は海に面した立地環境です。潮風に含まれる塩分が建物を早く傷めるリスクは高いため、10〜12年ほどで修繕が必要になりかねません。

 

ただ、修繕積立金だけでは工事費をまかなえない管理組合も多々あります。管理組合にとって、修繕費用の捻出は頭が痛くなる問題でしょう。そのような悩みに対して頼りになるのが、国や神戸市・兵庫県が用意している補助金制度です。

 

そこで今回のお役立ちコラムでは、2025年度、大規模修繕で使用できる補助金の種類や特徴をくわしくお話しします。

 

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なぜ今「補助金活用」が必要なのか

修繕工事の費用は年々増加傾向にあります。要因は複数あり、たとえば鉄筋・塗料・防水材など、修繕で使う主要資材が軒並み値上がりしていることです。とくに鋼材・セメント・塗料原料は、国際的な資源価格上昇や円安の影響で調達コストが上がっています。

職人不足による人件費の上昇や安全対策

修繕現場を支える塗装工・防水工・左官工などの職人は、全国的に高齢化が進んでいます。国土交通省が公表しているデータでは、建設業就業者の約36.7%が55歳以上となっています。

 

結果、職人一人あたりの日当単価が上がる傾向です。その分、労務費の上昇分が工事費に転嫁されている実情があります。

 

また、安全対策や足場コストの強化も修繕工事費に影響を与えているのです。職人の安全と安定した品質確保のためにも必要な措置です。そのため墜落事故防止や第三者被害防止の観点から、足場や養生の安全基準が強化されました。

高耐久・高機能塗料への移行

外壁や屋根塗装では、耐久性の高いシリコン・フッ素・無機塗料への置き換えが進んでいます。このようなグレードの高い塗料は初期費用が高いものの、再塗装周期が長く、長期的にはコスパが良いという特徴があります。

建築基準・環境性能の強化

「長寿命化リフォーム推進事業」など国の支援制度に合わせ、断熱改修・耐震補強・省エネ化の需要が増えています。これらの工事は高度な技術や追加材料が必要です。そのため、従来よりも単価が高い傾向にあります。

 

また、設備・仮設の管理コストも増加しているのです。資材保管や廃材処理などの環境負荷対策も、コスト増の一因となっています。

 

適切に実施するには管理体制を強化しなければなりません。そうなると、処理費や管理費の上昇につながるのも必然です。

 

参照:一般財団法人 建設物価調査会 建設物価 建設資材物価指数®

参照:国土交通省 最近の建設産業行政について

修繕積立金不足のマンションが増加中

修繕積立金不足のマンションが増加中

国土交通省の調査(令和5年)では、築30年以上のマンションのうち約36.6%は「修繕積立金が不足」と答えています。外壁タイルや鉄部塗装、防水改修を同時に行うと、1戸あたり80〜150万円かかることもあるのです。

 

積立金が足りないまま工事を延期すると、劣化が進み、資産価値の低下にもつながります。こうした背景から、補助金を使って費用を抑える方法が注目されているのです。

神戸ならではの劣化リスク

神戸は瀬戸内海沿岸にあり、湿度が高く、潮風による塩害を受けやすい地域です。塩分が鉄筋や外壁に浸透すると錆びや浮きが発生し、タイルの剥がれなどにつながります。気候条件を考えると、10年ごとに定期修繕を計画するのが安心です。

補助金は適切な理解が必要

補助金といっても、国・兵庫県・神戸市それぞれで制度が異なります。違いを理解することで、漏れなく活用できるようになります。

 

補助金の内容に違いが出る理由は、国、兵庫県、神戸市がそれぞれ目的をもって運用しているためです。たとえば国の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、断熱や耐震など「建物の性能を上げる工事」を対象としています。

 

一方、神戸市の「住宅耐震改修助成制度」は1981年以前に建てられた住宅の耐震補強が中心です。目的が違うため、どれを使えるかは建物の構造や築年数で変わります。

申請時期を逃すと1年待ちに

多くの補助金は年度ごとの募集で、早いと夏前には受付が終了します。申請前に見積書や設計図を揃える必要があり、準備期間を含めると春頃から動くのが理想です。遅れると次年度まで待つことになるので、早めの相談がポイントです。

 

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2025年に使える主な補助制度

2025年に使える主な補助制度

それぞれの補助金が、どのような工事に使えるのかを比較しやすいように表にまとめました。

国の代表的な制度の一例

制度名 主な対象 上限額 補助額
先進的窓リノベ2025事業 開口部の断熱改修(リフォーム) 最大200万円/戸 補助対象工事により設置する製品の性能と大き、および設置する住宅の建て方に応じた、製品ごとの補助額(定額)の合計

※補助対象となる窓(ガラス)およびドアは、本事業の性能要件を満たすことが確認された製品に限ります。

兵庫県の制度の一例

制度名 対象 耐震改修工事費 補助金額 備考
わが家の耐震改修促進事業 共同住宅 50万円/戸未満

50万円/戸以上

75万円/戸未満

75万円/戸以上

7.5万円✕対象戸数

10万円✕対象戸数

12.5万円✕対象個数

分譲マンションなど、区分所有の共同住宅の場合。補助金額の対象戸数は、補助の対象となる方が所有する戸数
制度名 対象 補助内容 補助金額 備考
神戸市 住宅耐震化促進事業補助金 昭和56年5月31日以前に着工された住宅(戸建・共同住宅・長屋)を対象

賃貸住宅・店舗併用住宅(住宅用途部分が延べ面積の半分超)も含む

工法としてプレハブ・ツーバイフォー・丸太組は対象外・・・など

対象費用の 4/5以内または80万円/戸数分 のうち低い額が補助上限額 【計画策定補助】

対象費用の2/3または

12万円×戸数のうち低い額

【工事費補助】

次の①②の合計額

① 補助対象工事費の1/4または 10万円×補助対象戸数のうちの低い額

② 補助対象工事費の1/2又は

40万円×補助対象戸数のうちの低い額

計画策定費補助の対象者は神戸市内に対象住宅を所有する個人か法人

工事費補助は、神戸市内に対象となる住宅を所有する個人

所得1,200万円(給与収入のみなら1,395万円以下の県民)

参照:長期優良住宅化リフォーム推進事業(国土交通省)【※令和7年度版】

参照:住宅省エネ2025キャンペーン(国土交通省・環境省・経産省)

参照:わが家の耐震改修促進事業

参照:住宅耐震化促進事業補助金の手引き(神戸市) 【申請要領PDF】 

補助金を「併用」するためのコツ

複数の制度を併用できるケースもありますが、ルールを知らずに申請すると却下されることも。正しく区分して申請しましょう。

 

また、書類とスケジュールの整理も重要です。補助金申請では、設計図・耐震診断書・議事録・見積書など多くの資料が必要です。交付決定前に着工すると無効になる制度もあるため、契約・着工は必ず決定後に行うようにしましょう。

申請前に相談するメリット

申請前に相談するメリット

「申請は難しそう」と感じる人も多いですが、事前相談をすることでトラブルを防ぎ、採択率も上がります。

相談で得られる3つの効果

  • 採択率アップ:書類の不備を防げる
  • 設計調整がスムーズ:補助対象を最大限活かせる
  • スケジュール短縮:申請から着工までを効率化

神戸市では、交付決定前に契約や工事を始めると補助が受けられません。早めに相談して、手順を間違えないようにすることが大切です。

対象になる工事

補助金を無駄なく使うには、対象外の工事を避けることもポイントです。

【対象になりやすい工事】

  • 外壁タイルの浮きや剥がれ補修
  • 屋上・バルコニー防水の更新
  • 共用部の照明をLEDに交換
  • サッシ・玄関ドアの断熱改修
  • 耐震壁や鉄骨ブレースの補強

対象外の工事

  • 外観デザインを変えるだけの塗装
  • 各戸の専有部分のリフォーム
  • 雑費や設計監理費(制度により一部対象外)

対象になるのは「建物の性能を高める工事」や「安全性・省エネに関わる工事」です。見た目だけのリフォームは対象外になります。

補助金を活用するための準備手順

実際に補助金を申請する際の流れを、順を追って説明します。スムーズに進めるために、事前準備が重要です。

【申請の流れ】

  1. 建物診断を実施(専門業者の報告書が申請に必要)
  2. 管理組合総会での承認(議事録を添付)
  3. 複数社の見積で工事内容を明確に
  4. 国・県・市の窓口へ事前相談
  5. 申請書提出 → 採択 → 契約・着工 → 完了報告

FAQ|マンション大規模修繕の補助金活用についてよくある質問

FAQ|マンション大規模修繕の補助金活用についてよくある質問

マンション大規模修繕で補助金を検討される管理組合・法人オーナー様から多く寄せられるご質問を、神戸市の制度や2025年度の運用を踏まえて整理しました。申請スケジュールや併用可否など、判断のカギになるポイントをQ&A形式でまとめています。

Q. 補助金を使うと、大規模修繕の費用はどのくらい軽減できますか?

制度や工事内容によって異なりますが、国の省エネ・長寿命化関連補助と、兵庫県・神戸市の耐震系補助などを組み合わせると、対象工事部分の2〜3割程度が実質的に軽減されるケースが多く見られます。

 

ただし、すべての工事が対象になるわけではなく「断熱改修」「耐震補強」「省エネ設備更新」「外壁タイルの安全対策」など性能向上に資する部分が中心です。全体予算への影響を正しく把握するには、計画段階で「補助対象工事」と「対象外工事」を分けた見積とシミュレーションを行うことが重要です。

Q. 国・兵庫県・神戸市の補助金は同じ工事で併用できますか?

原則として「同じ工事費を二重に補助すること」は認められません。一方で、工事を機能ごとに分割し、国の制度は断熱・省エネ改修、兵庫県や神戸市の制度は耐震補強や診断費用に充てるなど、対象をきちんと切り分ければ併用できるケースもあります。

 

併用設計では、補助金ごとに対象経費区分や上限額、他制度との重複制限を事前に整理することが不可欠です。早い段階から専門家や申請窓口に相談し、誤った区分で申請して却下になるリスクを避けることをおすすめします。

Q. 申請の準備はいつ頃から始めればよいですか?

多くの補助金は年度予算制で、募集開始から数か月以内に受付終了となることが少なくありません。神戸市の制度も含め、春〜初夏に公募が集中する傾向があるため、遅くとも着工予定の1年前、申請予定時期の半年前には「建物診断・工事範囲の検討・概算見積りの取得」を始めるのが安全です。

 

特に国の長期優良住宅化リフォーム推進事業や省エネ関連補助は、交付決定前の契約・着工が原則禁止のため、管理組合総会の日程も含めて逆算したスケジューリングが重要になります。

株式会社エースと進める補助金設計付き大規模修繕相談|まずは気軽にお問い合わせください

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神戸市でマンション大規模修繕をご検討の管理組合・法人オーナー様にとって

 

「どの補助金が使えるのか」

「国・県・市をどう組み合わせればよいのか」

「修繕積立金と一時金のバランスをどう取るのか」

 

といった論点は、技術や制度の両面から検討が必要なテーマです。一方で、補助金は申請タイミングや書類の不備によって採択結果が大きく左右され、交付決定前に契約・着工してしまうと対象外になる制度も少なくありません。せっかくの制度を活かしきれず、結果的に区分所有者の負担が増えてしまう事例も見受けられます。

 

株式会社エースでは、神戸市および兵庫県の制度動向と、国の長期優良住宅化リフォーム推進事業や省エネキャンペーンの要件を踏まえた「補助金前提の大規模修繕計画」のご相談に対応しています。外壁・防水・耐震・省エネをどのように組み合わせれば補助対象を最大化できるか、長期修繕計画と資金計画をどう連動させるか、といった点も含めて整理しながら、管理組合の意思決定をサポートいたします。

 

具体的な制度名が決まっていなくても「自分たちのマンションが補助対象になりそうか知りたい」といった段階からお気軽にご相談ください。問い合わせフォームからのお問い合わせはもちろん、メールや電話でのご相談、ショールームへの来店相談も受け付けております。

 

神戸市で2025年以降の大規模修繕と補助金活用を見据える際は、まず株式会社エースに一度ご相談いただき、失敗しない資金計画づくりの第一歩を踏み出していただければ幸いです。

 

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